前回は界面活性剤についてブログを書きましたが、気になっていた方も多かったのか、多くの反響をいただけました。すぐにでも後編を出したかったのですが、夏休み特別企画できたむーの超個人的な独り言でお茶を濁す形になってしまい、、、お待たせしましたm(__)m
前編では化粧品に配合されている界面活性剤の、特に「洗うもの(クレンジング、洗顔料)」について詳しく触れてみました。
後編は「与えるもの(美容液、化粧水、保湿)」と界面活性剤の関係性について解説させていただきます。
もくじ
1.化粧品はどんな原料でできている?
2.界面活性剤の種類と刺激性について
3.界面活性剤を使わずに水と油は混ざるのか?
①化粧品はどんな原料で出来ている?
そもそも化粧品は主にどんな原料で出来ている思いますか?
コラーゲン?ビタミンC?ヒアルロン酸?セラミド??
それは違います。
もちろん、上記のような肌に良いと言われる有用成分は配合されていますが、実は化粧品の大部分(いわゆるベース)は水と油から成り立っております。
水の量が多いとさっぱりしたテクスチャーになり、油が多いとしっとりとしたテクスチャーになります。
でも、皆様ご存知の通り水と油は混じり合いませんよね?
ドレッシングの様に、振ったら一瞬混ざりあった様に見えますが、時間が経つと分離し、また元の状態に戻ります。
このように、二層に分かれた境界線のこと「界面」と言います。
通常の化粧品はこの界面が露わになっているものはほとんどないと思いますが、化粧品の乳液やクリームは、水性成分と油性成分が界面活性剤によって結び付いて乳白色の性状をしています。この場合の界面活性剤は「乳化剤」と呼ばれています。
また、透明な化粧水にも香料や少量の油分が配合されていることが多く、それら油分も界面活性剤によって水中に分散されています。 これらのベースの中に、肌に良いとされる美容の成分が数%配合されて化粧品が出来上がっているのです。
②界面活性剤の種類と刺激性について
界面活性剤には「天然由来のもの」と「合成タイプのもの」があります。
自然界に存在する界面活性剤の代表例は、大豆や卵黄に含まれる「レシチン」(リン脂質)や牛乳の「カゼイン」(タンパク質の一種)です。マヨネーズは卵黄レシチン、牛乳はガゼインが「乳化剤」として機能しています。でも想像してみてください。マヨネーズを冷蔵庫から出して放置すると比較的早く分離しますよね?
それは卵黄レシチンの界面活性力が弱いからなのです。
実は自然界の界面活性剤は、全体的に水と油をつなぎ留めておく力が弱く、3年以上の安定性を保証しなければならない医薬品や化粧品の乳化剤として使われることは稀なのです。
そのため、医薬品や化粧品に使われる界面活性剤の殆どは「天然からの抽出」ではなく、「人工的な合成」によって作られています。いわゆる合成の界面活性剤は非常に多くの種類があり、数千種類もあるとも言われています。また、使われる親水基・親油基にも「天然系」と「合成系」があります。
※更に詳しい合成界面活性剤の解説に関してはフェースグループのサイトをご確認ください↑
乳液やクリームを長年放置したり高温に置いたりしておくと分離現象が起きますよね?
これは声を「大」にして言いたいのですが、
分離してしまった化粧品は絶対に使わずに廃棄してください!!!
なぜかというと、これは界面活性剤の親油基が油を手放してしまったために起こる現象なので、分離した乳液やクリームには、洗浄剤と同類の刺激性が生じる可能性があるのです。
そのため、このようなリスクを考えると、化粧水や乳液のような「肌に残す製品」であっても、界面活性剤を使わないで済むならそれに越したことはありません。
↑当社の美容部人気No1のプレケアエッセンスC は界面活性剤無配合の美容液です
③界面活性剤を使わずに水と油は混ざるのか?
実は、界面活性剤を使わなくても水と油を混ぜる方法があります。
それはゲル製剤と呼ばれる粘質状のものです。
ちなみにゲルとはドイツ語で英語ではジェルと言います。
例えば、片栗粉を水に溶かして熱を加えるとあんかけ料理のトロみが出ますよね?
また、海で採れる昆布の周りにもトロトロとした物質が付着しています。
ゲル製剤というのは、糖やタンパク質のような高分子が立体的な編み目構造をつくり、その編み目の隙間に水を閉じ込めることで水の流動性を低下させトロみ(粘度)を出したり、場合によってはゼリーのように水を固めたりしてしまうことができる物質です。
当社の人気アイテムのクレンジングもトロミがあるジェルタイプです↑
しかし、残念ながら隙間に入る油の量(水に対する比率)には限界がありますので、油分の多い製剤をつくろうとするとしたら、界面活性剤による乳化製剤に頼らざるを得ません。
もちろん、肌の状態によっては多くの油分が必要なお肌の方もいらっしゃいますので、乳化製剤も必要だと思いますが、当社ではいち早くゲル製剤に着目しゲル化粧品にこだわり続けているため、健常なお肌の方には毎日使用するベーシックケアにゲルを推奨しています。
↑WITHOUTの保湿ゲルはノーマルタイプとリッチタイプと2種類あります
前編後編にわたってお伝えしてきた、当社が考える界面活性剤について三つのポイントにまとめてみました。
①「肌に残す製品であっても、界面活性剤を使わないで済むなら、それに越したことはない」
②「洗浄系以外の製品にはできるだけ合成界面活性剤無配合※で毎日のスキンケアをする」
③「洗浄製品であっても界面活性剤を使わないで洗浄できる方法はないか?ということを考え続ける」
※親水基・新油基とも石油起源の化合物から成る界面活性剤
美容部員として多くの人に化粧品を販売してきた私にとって、肌の事を考えた化粧品作りへのこだわりは驚きと様々な発見があり大変興味深いものでしたが、お肌に負担がないことを考えると、とても理にかなっていてしっくりと腹に落ちました。
スキンケアは毎日使うものだからこそ、お肌に優しいもの、きれいになれるもの、コツコツと無理なく継続して使える物が良いですね!
情報が多い今だからこそ、コツコツしか勝たん!!
では、本日はここまで☺